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【虚偽情報拡散事件】愛知県豊田市議会議員に対する訴訟提起その他進捗について
2019.10.27
1 愛知県豊田市議会議員に対する訴訟提起について
既に一部報道されましたが、令和元年10月21日付で、東京簡易裁判所において、愛知県豊田市議会議員(以下「本件議員」といいます。)に対し、慰謝料100万円及び弁護士費用10万円(不法行為に基づく損害賠償請求をする場合は、損害額の1割相当額を弁護士費用として加算することが実務上の通例です。)の合計110万円を請求する民事訴訟を提起しました。
110万円が請求額ですから、事物管轄に従い東京簡易裁判所に訴訟提起しました。しかし、事案の性質に従い、同年10月25日付で東京地方裁判所に事件を移送する決定がされました。したがいまして、今後は東京地方裁判所において、本件につき審理がされることとなります。
本件議員の投稿記事の内容は、当時広く拡散されていた、「マンタ」と称する人物のツイート、女性被害者の顔写真の画像、女性被害者のInstagramのトップ画像等を引用(シェアではなく、スクリーンショット画像をまとめて引用)した上で、「同乗の女も見つけたようです。たぶん一緒にいるんでしょうね。早く逮捕されるよう拡散お願いします」と述べるものでした。当方としては、この記事は女性被害者が女性被疑者であるとの事実を摘示するものであり、当時の状況に照らせば、かかる事実は女性被害者の社会的評価を低下させるものとして、女性被害者の名誉権が違法に侵害されたと判断しています。
当方としては、同年8月28日付で、本件議員に対し100万円の慰謝料の支払いを求める通知書を送付するとともに、豊田市議会にも本件議員に対し適切な措置を検討して欲しい旨の通知書を送付しました。これらの通知書は、いずれも同年8月30日に本件議員及び豊田市議会に到達しました。なお、豊田市議会に対する通知は事案の報告及びお願い程度のものですから、同市議会に対し責任追及をしたことはありませんし、今後もする予定はありません。
その後、本件議員から、謝罪の手紙をいただいたものの、本件訴訟提起日まで、慰謝料については弁護士に相談するというほか特段の回答が得られず、同年9月27日に回答の催促をしたものの、その後も回答が得られなかったため、同年10月21日付で本訴訟提起をしました。なお、その直後に本件議員から2通目の謝罪の手紙が届きましたが、解決に至る内容ではありませんでした。
また、この件に関する記事が公表されたあと、既にトレンドブログ等でこの話題が取り上げられています。しかし、当職が確認した限りでは、これらのブログの内容は本件議員のプライバシー情報等を公表することを主題にするものであり、本件の本質的問題を正面から扱うものではありませんでした。本件でもそうであったように、女性被害者や本件議員に関する事実誤認を招く記載がされている可能性がありますので、これらのブログを閲覧する際には、間違った事実を認識し、拡散しないように留意して下さい。
2 その他の責任追及の予定等について
現在、本件が拡散された中心的な場であるTwitterやInstagramについては、発信者情報開示の手続を継続しています。実際に発信者を特定するまでには、まだ10か月程度の期間を要することが見込まれます。今回の訴訟は、通常の開示手続によらず特定をすることができたこと、上記のとおり、8月頃から既に事前協議を始めていたことからこのタイミングで提起したものであり、本件議員に対してのみ責任追及をするという趣旨ではありません。
以上